商売と事業の違いと"キャズムを越える"ということ
「キャズム」をご存知だろうか。
キャズムとは
ハイテク業界において新製品・新技術を市場に浸透させていく際に見られる、初期市場からメインストリーム市場への移行を阻害する深い溝のこと。
詳しくはこちらを参考にして欲しい。
itmediaの解説は「ハイテク商品」という括りになっているが,古くは自動車,テレビ,洗濯機,電子レンジなどから始まり,最近ではPC,携帯電話,スマートフォン,VR用HMD,ARグラスなどのハイテク商品までこの普及への「キャズム」はすべての商品・サービズにあてはまる。
VRやARはまさに「キャズムを越えられるのか?」が最大のテーマになっている。
「ニーズ」が既に存在して多くの市場参入者が既に存在している場合は,競合関係も激しく生き残るには「体力勝負」になる。レイト・マジョリティの争奪戦だ。
マインドフルネスも全く同様で,初期市場の確立に20年程度を要し,アーリーアダプターの13.5%に相当する人々が登場したのはこの1~2年だ。
なので,マインドフルネスを普及させるにはアーリーアダプターを対象にした施策は全く意味を成さず,「アーリー・マジョリティ」をどう育成し拡大させるかということを考えた「仕掛け」をしていく必要がある。
この時点では,アーリーアダプターから得たインサイトや経験は全く「使えない」。人種が違うので,アーリー・マジョリティを育成・拡大させる「仕掛け」が新たに必要だ。
スティーブ・ジョブズはこう言っている。
多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ。
これを実現するには,商品やサービス提供者の「信念」,「情熱」,「時間」,「ニーズを創出する工夫と仕掛け」など多くの労力を必要とする。
しかし,それが「事業」であると思う。
現状のニーズに対応するのは「商売」。ニーズを自ら創出して「自分の主観的な思いを実現する」のが「事業」。そしてそれを支える「信念」を持ち続けることで「やり抜く力」を身に付けることが出来る。
昨日はまさにこの「ニーズを創出する工夫と仕掛け」をアライアンスで立ち向かう,という大きなテーマについてのミーティングを持った。エンジニアとクリエーターのマインドフルネスへの認知・理解の拡大,共同研究による「ニーズの可視化と気づきの創出」「標準化したプログラムによるアーリー・マジョリティ~レイト・マジョリティへの普及」に取り組んでいく。
ニーズがある所で勝負するのは「商売」。
信念に基づき「ニーズを気づかせ」新しいものを普及させるのが「事業」。
大企業の新規事業は「新規商売」というケースが多く,短期的な利益を要求されることも多いため,うまくいかないケースが多いと考えられる。インキュベーションとは,「新規商売」ではない,と断言する。
「商売」でなく「事業」をやる。
これが自分の「信念」である。
マインドの革新で,自己革新を。